再現料理研究 · 文献横断レポート
煎り酒は「消えた万能調味料」だったのか
江戸料理書、成分分析、官能評価を比較し、煎り酒を懐古的な万能調味料として扱わない。
問い:復刻すれば江戸の味になるのか
煎り酒は料理書に記される調味料だが、現代に再現した一つの配合が江戸全体の標準味を代表するわけではない。料理書は用途の記録、再現実験は特定条件での成分と官能の記録である。
両者をつなぐには、どの原典のどの配合を、どの材料で再現したかを追う必要がある。
比較:史料と実験は役割が違う
煎り酒の官能評価研究は、料理書の記述を基に再現し、成分特性と嗜好を測った。これは「いま食べるとどう感じるか」を検討できるが、過去の一般的な嗜好を直接測ったものではない。
醤油・酢の料理書研究を併読すると、煎り酒は単独で消えた調味料ではなく、複数の液体調味料が入れ替わる過程で見るべきだと分かる。
結論:再現は歴史の答えではなく実験
煎り酒の再現は、過去をそのまま食べ直す行為ではなく、史料を現在の材料と感覚で検証する実験である。
記事では配合を固定し、原典・再現条件・官能評価の対象者を分けて表示する。これにより、再現料理を歴史的事実の証明と誤認させない。
参考文献
APA第7版形式。本文中の角括弧の番号は、この一覧の文献番号に対応します。直接引用は行わず、研究の方法・結果・限界を要約しています。
- Aoyama, S., Katayose, M., Kawarazaki, Y., Konishi, H., Sakagami, A., Sawada, M., Shigaki, H., Tominaga, S., Masai, C., Yamamoto, N., Yamamoto, Y., & Yoneda, Y. (2004). 関西のうす味・うす色食文化の形成とうすくち醤油の利用に関する研究(第1報): 江戸期の料理本に見るしょうゆの出現数と地域性. 日本調理科学会誌, 37(1), 21–34. https://doi.org/10.11402/cookeryscience1995.37.1_21
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- Tominaga, S., Maeda, T., & Kishida, E. (2012). 江戸期の調味料「いり酒」の嗜好特性:成分特性と官能評価. 日本調理科学会誌, 45(1), 37–42. https://doi.org/10.11402/cookeryscience.45.37