食文化研究 · 文献横断レポート

江戸の煮物は、いつ甘くなったのか

料理書の調味料調査を横断し、砂糖・みりん・醤油・酢の記載を時代順に読み直す。
比較する変化
前期酢・煎り酒・たまり
中期醤油の多様化
後期砂糖・みりんの記載増

問い:現代の「甘辛い煮物」はいつできたのか

江戸料理を一つの味とみなすことはできない。料理書の調査は、前期から後期にかけて使われる調味料や記述の組合せが変わったことを示す。

本レポートは砂糖・みりんを見つけた年だけを起点にしない。醤油、酢、煎り酒の記載と並べ、どの味が置き換わったのかを問う。

この節の参照文献:[1] [2] [3]

資料を横断すると何が見えるか

76冊を対象にした醤油研究、33冊を対象にした酢研究、煮物36種の調査、煎り酒の再現実験は、対象冊数も方法も異なる。そのまま出現回数を足し合わせることはできない。

代わりに、各研究の対象期間・対象料理・数え方を表にし、同じ時代に複数の調味料が共存していたことを確認する。単純な「古いから薄味、新しいから甘い」という年表にはしない。

この節の参照文献:[1] [2] [3]

結論と限界

後期料理書で甘味調味料の記載が増えるという知見は、現代の煮物の味を自然な伝統として扱わない視点を与える。

ただし料理書は出版物であり、家庭の摂取量そのものではない。記載の増減を庶民全体の味覚変化と同一視せず、原典・地域・料理種別を明示する。

この節の参照文献:[1] [2] [3]

参考文献

APA第7版形式。本文中の角括弧の番号は、この一覧の文献番号に対応します。直接引用は行わず、研究の方法・結果・限界を要約しています。

  1. Aoyama, S., Katayose, M., Kawarazaki, Y., Konishi, H., Sakagami, A., Sawada, M., Shigaki, H., Tominaga, S., Masai, C., Yamamoto, N., Yamamoto, Y., & Yoneda, Y. (2004). 関西のうす味・うす色食文化の形成とうすくち醤油の利用に関する研究(第1報): 江戸期の料理本に見るしょうゆの出現数と地域性. 日本調理科学会誌, 37(1), 21–34. https://doi.org/10.11402/cookeryscience1995.37.1_21
  2. Yanagihara, N., Maehashi, K., Akuzawa, S., Hosaka, M., & Koizumi, Y. (2021). 江戸期における日本料理への酢の使われ方. 日本調理科学会誌, 54(3), 132–140. https://doi.org/10.11402/cookeryscience.54.132
  3. Tominaga, S., Maeda, T., & Kishida, E. (2012). 江戸期の調味料「いり酒」の嗜好特性:成分特性と官能評価. 日本調理科学会誌, 45(1), 37–42. https://doi.org/10.11402/cookeryscience.45.37